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執筆者の写真Deva Tarika

聖なる盗賊


このあいだ、銀行にお勤めしているという女性と話す機会があった。

なんでこんな話しになったのか経緯は忘れたけど、詐欺にあった人たちが、なぜかその後運勢が

上向いてることがあるそうだ、という話し。

2年ほど前だっただろうか?ローマのテルミニ駅でスリにあったのは。アジア系の女性が電車に乗り込もうとする私のスーツケースを手伝ってくれる、というのだけど入り口も狭いし、大丈夫だから、とお断りしたとき、多分その瞬間………..

彼女たちがジプシーなんだと、あとで知った。なんで私?なんで他の人じゃなくて、私???

お金持ってるようには見えないでしょ。どう見たって!いや、実際持ってないから!!

プロフェッショナルの手際は鮮やかで、封筒に入れて、さらにお財布に入っていたユーロと、

封筒の外でお財布に入ってたバーツ、ぜーんぶなくなって、空の封筒が無惨に破かれたまま、

お財布にお行儀よく収まっていた….。

警察もお手上げで、「あきめなさい」と、思いっきり残念そうな顔をされた。

うわぁぁ、呪われてるのか?私….

そのとき一緒にいた友人たちには一方ならぬお世話になったことは

いうまでもない。人の親切がこれほど染みることもないってぐらいに。

世界が音を立てて崩壊した。あまりの惨事に声も出ずどんな顔してたら今、この瞬間にふさわしい

態度なのかよくわからなかった。世界がすすむスピードと私のいる場所の次元が完全にずれてる、

みたいな感じ。

帰国した後、友だちにその話しをぼやいてみたら、なんとその友人夫婦は、両親からもらった

独立開業祝いのお金を持って買い物に出かけて、新宿の某T百貨店の入り口で、全額やられたと。

金額を聞いてビックリ、私よりずっといっぱい。すられた時はもうショックでへたり込んだって。

それでも百貨店は警察には通報してくれなかったそうだ。

でもその後、すられた後からなぜかお金の回り方が変わって来て、商売上、今までよりも

ゼロの桁が増えたのだそうだ。確かに…..今振り返れば、私もその頃よりも今の方が、

多少進化しているかもしれない。

ふと思い出した。サニヤシンで「ハリデヴァ」という名の友人がいる。意味は「聖なる盗賊」

盗賊の守護神は、マーキュリー、水星だ。水星は私の守護星でもあるが、

「盗賊にも神様がいるんだなぁ」

くらいしか思っていなかった。でも考えてみたら、以外と彼らは守られてる。

盗まれた方が悪いのさ、運がなかったね、なんて。

ハリデヴァという名前も、なんで泥棒が「聖」なのか?と思っていたが、にわかにここで

彼の名前の意味が私にしみ込んで来た。ハリデヴァ、アリババ、ルパン三世にネズミ小僧。

盗賊はきっと、私たち一般ピープルの「カルマ」を盗むのが宇宙から与えられた

職業なのかもしれない。仏教では「お布施」と「喜捨」というのがあるが、

お布施はお礼で喜捨は物欲や執着を喜んで捨てる、とか、無条件で与えるものだそうで、

スリなんてのは宇宙に「喜捨」したと思った方が救われる。

イスラムやイスラエルなどでは、持てるものが困窮するものへの当然の義務としてあると聞く。

まぁ、世界には様々な職業があれど、プロフェッショナルのスリや盗賊なんていうのは、

最古の職業の部類に入るんじゃないだろうか?メルマガでも書いたけれど

「娼婦」と同じで、実は神と一番縁の深いものなのかもしれない。

世界には、神の断片でないものなど存在しないんだもの。

娼婦も盗賊も、普通に暮らす人たち(だと思っている)とは別世界にいるようでいて、

実は人間の一番奥深いところに潜む集合無意識に働きかける職業なのかもしれない。

面と向かったらその人の内側に潜むジャッジメントは露になるだろう。

善人ヅラしてると逆襲くらう。

あ、私?

失礼…..

……………P.S おまけ………………………………

注:ローマの路地裏で暗躍するジプシーたち。

1000年ほど前に、インドからやってきてヨーロッパに定住した一部族で、

「ロマ」という名で呼ばれている。イタリアで、彼らが住んでいるというバラックの

横を通り過ぎたことがある。

それはまさにインドで見たバラックにそっくりで、これもやはり、

イタリアはヨーロッパのインドだ、と言われる所以の一つなんじゃないかと思った。

ジプシーは住民票も持ってる人も多くないだろうし、政府の管理下に入らず、

もちろん税金も払ってないだろうし、ほとんどの人が学校も行ってないということだったし、

イタリア語もほとんど解さず、そのために各地、行く先々で迫害を受ける彼らは、

独自の文化と言語を1000年もの間継承し続けている!

タロットだって、元はジプシーからもたらされたものだと聞く。

彼らにとって「持てる人が持たざる人に施すのは当然のこと」なのだ。

なんだかインドの「ヒジュラ」(←過去記事へリンク)を思い起こす。

不可触民、賤民、穢多、非人、みんな古代の被征服民族だという説があるが、

盗賊や娼婦も、その部類の魂だろうと個人的には思う。

彼らは私たちの忘れてしまった魂の一部を呼び起こすために、そこにいるような気がする。

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